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アメリカで6年間過ごした私が考える英語学習の方法と心構え

導入

英語はただのスキルではなく、キャリアをゴリゴリ切り拓くための強力な武器です。

「でも、これからは AI がリアルタイム翻訳してくれるから、英語学習なんてオワコンでしょ?」と思うかもしれません。確かに、文化的な背景を必要としない「ただの情報伝達」なら AI で十分です。

ただ、それ以上に私がアメリカ生活で痛感したのは「言語を学ぶ過程で、文化や考え方の違いを理解できる」ということの重要性です。世界には英語を第二言語として話す人が山ほどいます。英語が話せるだけで、全く異なる文化的背景を持つ人たちと一気に繋がれるわけです。

例えば(アメリカ文化に偏っていますが)、シリコンバレー特有の「技術者ファースト」な文化、歴史や政治から影響を受けた社会の雰囲気、あるいは日常会話の端々ににじみ出るキリスト教的な価値観。これらは、言葉の裏にある「文脈」です。AI が表面上の言葉を完璧に日本語へ翻訳してくれたとしても、その文脈(文化や考え方の前提)を肌感覚で知らなければ、「なぜ相手がその意思決定をしたのか」「なぜその言葉を選んだのか」という真意までは理解できません。

言語そのものを身につける過程でしか、本当の意味で腹落ちしない文化的な価値観があります。相手のニュアンスを汲み取り、人間同士として「心を通わせる」レベルに到達するには、やはり自分自身の英語でその文脈に触れる必要がある。ここが、どれだけ AI が進化しても代替できない部分だと私は思っています。

誤解のないように言っておくと、私は「全員が英語を学ぶべきだ」とは思っていません。ただ、日本の学校教育で「中学・高校とあんなに時間をかけて基礎を学んだのに、いざとなると話せない」というのは、あまりにももったいないと感じています。

一方で英語学習は、やり方を間違えると沼です。教材だけが増え、やる気だけが削れ、気づいたら「英語の勉強をしている自分」に満足して終わる(あるある)。

この記事では、私の英語学習の経験をもとに、おすすめの学習方法と心構えをまとめます。私の英語力の推移、結局一番重要な「モチベーション」の話、そして私なりのモチベが保てた英語学習方法についてお話しします。

この記事が、これから英語学習を始める誰かのモチベーションの火種になれば幸いです。

私の英語力の推移

まずは私の英語力の推移です。学生時代の私は、とりあえず TOEIC を英語力の指標として英語を勉強していました。

中学・高専

私は普通の公立中学校、国立高専に通いましたが、英語が得意だったわけではありません。18 才のころに英検 2 級、TOEIC 450 点くらい。私の環境だと「周りより少しできるかも?」くらいです。ここから 2 年くらいは DUO という単語帳をベースにだらだらと勉強してました。TOEIC は 600 点くらいになってたと思いますが、とても効率的に勉強できていたとは言えませんね。例文に登場する「Bob」の不幸な境遇ばかりが長期記憶に残り、肝心の単語はすぐに忘れるという人間の脳のバグを体験しました。

転機は 20 才の時です。幸運に恵まれ、授業やインターンで外国人と英語で話す機会が増え、これをきっかけにスピーキング重視の勉強に切り替えました。オンライン英会話で毎日 30 分を 1 年くらい継続。最初はリスニングも酷いもので、「How’ve you been?」や「Repeat after me」に対して、「Hmm, interesting」みたいな的外れな相槌を打つところからのスタートです。でも最初の1ヶ月を乗り越えると、これが楽しくて、日常で英語のことを考える時間がかなり増えました。この 1, 2 年が人生で一番英語を勉強していた時期だと思います。この時の TOEIC は 800 点後半です。

大学院修士課程

22 才で大学院に進学しました。修士時代はどちらかというと英語よりもプログラミング言語のことで頭がいっぱいでした。プログラミング言語はきっちりとコンパイルエラーを出してくれますが、英語はエラーがわかりずらくて困ったものでした。でも、最近は AI でだいぶ楽になりましたよね。

ただ、論文や技術文書をたくさん読んだのでリーディングは鍛えられました。あと、この時期にオンラインの外国語学習コミュニティに参加するようになりました。研究室でも英語を話す機会があったため、週に 3 時間くらいは英語を話していたと思います。

アメリカやインド、シンガポールに行く機会もありましたが、人によっては意思疎通が難しかったです。TOEIC は就活用に一回受けて、900 点前半でした。

会社員

24 才で楽天に入ってすぐ、会社で TOEIC を受けられる機会があったので受けてみたら満点でした。当時の実力からすると、まあまぐれです。同時期に受けた Versant というスピーキングテストは 60 点台でした。これは「大きな負担を感じさせずに、情報や視点を明確に述べられる」レベルらしく、だいたい当時の実感と合っています。

修士時代と同じく、積極的に英語を勉強はしていませんでしたが、社内公用語が英語だったこと、後の妻が日本に語学留学で長期滞在していたことで、日常的に英語を話す環境はありました。

渡米後

アメリカに来て最初のころは、妻の家族が気を使ってくれて会話が成立する場面も多くありました。非ネイティブと話すのに慣れていない人だと、意思疎通のハードルは数段上がると思います。ジョークも文化的な背景を前提としていて、理解できないし。

レストランで注文はできるものの、聞きなれない表現が聞き取れないことは何度もありました。Soup or salad? とか。「Super salad」ってなんだよ、と思いながら Yes って言ってました。

渡米後半年たった頃にした就職活動では、電話面接は英語が聞き取れるかでドキドキでしたが、なんとか問題なく就職できました。この頃にはだいぶ自然に会話ができるようになっていたと思います。これは現地でよく使われる表現への慣れの問題だったと思います。

アメリカ生活

それから 6 年ほど、ソフトウェアエンジニアとして働きながら生活し、だいぶ英語力も上がりました。プロジェクトをリードしたことも多く、チームメンバーとはもちろん、非エンジニアの方や目上の方々との会話や議論の機会も多くありますが、英語力が問題になったことはないと思います。

ただ、たまに単語や表現が出てこなかったり、簡単な単語を知らなかったりはします。ドキュメントも結構書いてましたが、文法や言い回しを調べることは日常茶飯事です。当時は Grammarly という添削ツールを使ってから文章を共有していました。最近は AI でなんとでもなりますね。文明の利器。書いたドキュメントについてはわかりやすいと言われることが多いですが、これは英語力というより文章の構成だと思います。

また、妻がネイティブなのでネイティブの人との交流も多いですが、会話についていけないということはほとんどありませんし、会話をするときに気を使われていると感じることもないです。難解な映画はそこそこわからない単語や表現が出てきますが、字幕がなくても内容が理解できないことはあまりありません。ポッドキャストやニュース、YouTube 等のコンテンツは聞きなれない単語や表現がかなり少なく、ほとんどの内容を理解できます。

どこが一番辛かったか

ここまで読むと「じゃあアメリカに行けば英語は伸びるんでしょ」と思われるかもしれません。ただ、私が「頑張って英語を勉強した」と強く感じている期間はアメリカへ行く前です。渡米後は、やることは多いものの英語学習としては慣れの比重が大きく、感覚としては消化試合みたいなものでした。

もちろん、その消化試合の中でしか身につかないものもあります。文化的な価値観や社会的な構造を理解していないと意味のわからない表現があるのは事実ですし、そういうニュアンスは現地で生活して初めて腹落ちする部分もあります。

結局、「モチベーション」が一番大事

アメリカに長く住んでいる方や留学経験のある方でも、英語があまり話せないというケースを、日本人に限らず多く見てきました。意外と英語を話さなくても生きていけるんですよね。そりゃ話さなければ上達はしないわけです。

結局、英語学習を「消化試合」にまで持っていくのに一番大事なのは、最初の3歩の「モチベーション管理」です。学習の初期はとにかく辛いです。でも、3歩目を踏むころには、英語がすでに「生活の一部」に入り込んでいます。そこまでいけば、もう勝ちです。

私なりの「モチベが保てる」英語学習方法

では、その「最初の3歩」をどう乗り越え、どうやってモチベを維持するのか。私のおすすめする学習方法を 3 段階でまとめます。(※中学英語程度の基礎があることと、会話が嫌いでないことを前提としています)

1. 単語と例文の暗記(1〜2ヶ月程度)

まずは単語です。地味ですが、ここをすっ飛ばすと会話が始まりません。足し算を知らずに掛け算を勉強するようなものです。

好きな単語帳を自分の好みで 1 つ選び、単語と例文の両方を覚えてください。ここで覚えた例文は英会話を始める上での基礎になります。会話の中でどう使うかを意識しながら、音読するのが効率的です。

ここをダラダラやると、ずっと辛いままになります。理想的には、なるべく短期間(1〜2ヶ月程度)で一気に駆け抜けるのが一番だと思いますが、私は数年かかりました。広く浅く何周か回し、8割程度覚えたらさっさと次の英会話フェーズに進みましょう。

2. 英会話(半年〜1年)

ここからが「英語学習してる感」が一気に出るフェーズです。最初はしんどいですが、慣れると急に楽しくなります。

オンライン英会話サービスを利用しましょう。最初の数回は準備に時間がかかると思うので週 1, 2 回でも OK ですが、理想は毎日、最低でも週 3 回はレッスンを受けたいところです。最初は会話が成立しなくても、とにかく座る。筋トレと同じで、まずはジムに行くのが勝ち筋です。

私は、家族、仕事、旅行など、自分が話したい話題を先に決めて、スクリプトまで準備して望んでいました。スクリプトにある表現はできる限り暗記です。最初のころは、準備は1時間くらいしてましたかね。満足がいかなければ同じトピックで再挑戦していました。話せるトピックが増えると、成長が自覚しやすくて強烈なモチベになります。

いろんな人といろんなトピックについて話しましょう。めんどくさいと思われるかもしれませんが、最初の 1 ヶ月程度を乗り越えれば楽しくなります。楽しんでいるうちにどんどん英語力が上がり、半年もすれば TOEIC 800 点、英検準一級くらいは取れると思います。

3. 英語コンテンツからの学習

最後はインプットです。ここまで来ると、英語が「教材」から「娯楽」や「道具」に変わり始めます。勝ち確です。

ある程度英会話に慣れてきたら、TV ドラマ、ポッドキャスト、YouTube、技術文書など、自分の興味のあるコンテンツから新しい単語や表現を学びます。わからない単語に出会った際は意識的に意味を推測して頭に留めるようにしましょう。頻出する単語ならそのうち覚えます。

まとめ

英語学習において一番の障壁は「モチベーションの維持」であり、一番辛いのは「最初の数ヶ月」です。 そこを仕組みと気合で駆け抜け、英語が生活の一部に溶け込む「楽しいステージ」にたどり着くこと。それが英語習得への一番の近道だと私は信じています。

まずは重い腰を上げて、DUO 単語帳の中で不幸な目に遭い続けている Bob に会いに行くところから始めてみませんか?

そして、オンライン英会話という名のジムで、画面越しの先生に「Hmm, interesting」と相槌を打つのです。

この記事が、だれかの英語学習のモチベーションの火種になれば嬉しい限りです。

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